都立墨東病院の会計待ちで
よせばいいのに、テニス中のアキレス腱断裂という、不慮の事故の絶望感に打ちひしがれ一夜が明けた。
これまた、慣れない松葉杖での移動で殊の外、疲れ切って茫然とこれからの過ごし方をアレコレ思い悩みしながら精算待ちしていた時の一コマ。
人目で品の良いお婆ちゃん👵が近づいてきて、隣に腰掛ける。
見るからに「不満げ」な様子で、こちらに話しかけたそう。
案の定、話しかけて来た。
つかまり立ち、杖の代わりを兼ねた買い物カートに、可愛い縫いぐるみの小物入れを幾つかぶら下げている。
装飾品(指輪や時計その他)も、明らかに暮らしの良さを窺わせた。
もう85歳だそう。
「早くして欲しい(病院からでないと!)」
「この歳でコロナに掛かったら死んじゃうから」
心臓が悪くてここに通院しているらしい。
私の母として感情移入するには、ひと回り近く歳が上。
没交渉となった叔母がこのくらいの歳になるのだっけ。
お婆ちゃん、一方的に話まくる。
「コロナでほら、死んじゃったでしょ、
コメディアンのあの人と、女の人。」
そんな他愛もないコロナ話を交わした後、待合の患者に黒人が一人いて目の前を通り過ぎる…
「黒人に生まれて来たからかわいそう。」
「何で黒人と結婚するんだろうね。
ほら、テニスのあの人。」
「そう、大坂なおみのお母さんよ。」
「お父さんは、黒黒としてるものねぇ」
「何かを習い事とかで、教わったりすると仲良くなっちゃったりするのかしら…」
お婆ちゃん、こちらの様子はお構いなく、一方的に喋りまくる。
「(付き添いの方もなく)お元気ですねぇ。」
子供還りしちゃうとはよく言うが、三つ子の魂百までとはよく言ったもので、あからさまに生来の本性と本音を剥き出しにして生きてしまうのかもしれない。なんて、思いながら聴いている…。
そして、自分だって、娘が黒人と結婚すると言い出したら
「泣きたくなる」かも知れない。
日本人は、「外人をただ外人というだけで、肌の色だけて差別する事はない」と思い込んでいたが、やはり「それは思い込みに過ぎなかった」
ということか?
自分の本音をオブラートに包んで、生きているだけなのかも知れない。。。
と思いつつも、聞くに耐えられなくなって来たので、お婆ちゃんの旦那の話に話題を持っていった…。
なんと、旦那さんは94歳❗️だとか。
緑の開業医…。
昔話
お婆ちゃんち(生家)もお医者さんで、
8人中、6人を医者にしたそう。(凄い❗️)
お婆ちゃんも頭がよく、竪川中学でオール5で両国高校から進学して医者になろうと思ったが、家には流石にお金がなくて諦め、フランス語の勉強をしたそうな。
それで横浜に勤めたか何かで、たまたま、横浜の医局にいたご主人に、雨の日、傘を貸して貰ったのが馴れ初めだそうな…。
悲運の一族ストーリー
そして、息子が55歳で癌で亡くなられた話に。
肝臓から肺へ転移し、今年の8月に亡くなった。
(お婆ちゃん30の時の子なのね。)
息子さんは、順天堂で首席で、30そこそこで墨東病院に配属となり、その後茨城の方の病院のいかされて癌を患ったそうな。
(一度は治ったんですね。あと、首席なら大学病院に残って教授になるのではないかな? まっ、いいか…。)
49日が終わったばかり。
「長生きして欲しかった。」と嘆息。
二人子供のうちの一人だからと。
(8人兄弟姉妹の発想だわね)
まだ子供は中学生だとか。
そして話は、同居している娘さんに。
行かず後家で残っているその訳は…。
悲しい失恋物語だ。
曰く、お医者さんと付き合っていたが、血液型がRh-だという事が分かり
「婚約が破棄された」
な、なんと。
お婆ちゃんもRH-で、近い親戚にも多いのだとか。
「奇形児が出来ても困る」ので、と。
おいおい、本当にそんな事あるのかよ?
と思いながら、お可哀そうでしたねと相槌をうつ。
そんなこと初めて聞いたので、ググッてしまった。
宇宙由来の血液型ねぇ…
何だか、突拍子もない話だけど、地球上の他のどの霊長類にもrh-の遺伝子はないと言われると、はてさて、トンデモ話とも思えない気がして来る。
お婆ちゃん、👽宇宙人の末裔👽だったのかぁ😅
あと、バスク人は、なんと、60%もRH-がいるとか…
>またバスク人は表現型で最大35%、遺伝型で60%がRh-型の血液である[19]。
凄いストーリー性の高い呟きと、実生活のエピソードが筋の通ったホネ(フレーム)のある展開。
あぁ、確かに頭の良いお婆ちゃんでした。
でも性格に難有り?
この間、正味10分弱の間にこちらの素性は何も明かすことなく、おばあさんの半生を走馬灯のようにご一緒に振り返ってしまった気がします…。
何か、このお婆ちゃん👵の呟きは、決して自分が怪我しなければ拝聴する事もなかった奇想奇天烈なお話。
「書き記さないではいられない」
気がして、ここに遺しておきます(笑)